壊れた御守り
第18章 家族
どんなに酷いことをされても
どんなに理不尽でも
どんなに会いたくなくても
それでもあいつは
凌華にとって、必死でしがみつかなければならない存在だったんだ。
中途半端に優しくされたことを覚えてるから
本気で嫌いにはなれなかったんだ。
「なぁ。長嶋」
俺はなんにもしてやれない
してやれねぇけどせめて
安心させてやりたいと思ったんだ。
「やっぱりさ、お前、ずっと家にいろよ」
「え…?」
「あそこに、無理に帰る必要ねぇよ」
「でも…」
「俺は家族でもねぇし、親戚でもねぇけど!!だけどさ、お前にはいっぱいいるだろ。麻美も健太も俺も…母さんや父さんだってお前のこと想ってるよ。だから…ここにいろよ」
俺は一気にそう言った。
しばらくしんと静まり返った部屋に2人
お互い何も喋らなかった。
背中にのった麻美の寝息と、鼓動の音を感じて
俺は深く息を吸った。
写真を見つめじっとしてる凌華の頭を
何も言わずにそっとなでてから
俺は静かに家をでた。