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壊れた御守り

第18章 家族



寒い夜道を、鼻を啜りながら歩く。




街灯に照らされて、白い雪が降るのに気付いた。





「慶ちゃん…」




寝ていたはずの麻美の声がして、俺は少し振り返って麻美を見た。





「起きたのか?」





「ううん。ずっと起きてた」




「はぁ?ずっとって…!?」




「凌華ちゃんが話し始めた辺りから…ずっと…」




びっくりして立ち止まる。




じゃあ、さっきの話は麻美も聞いてて…。




「慶ちゃん、また傷つけたって思ってたでしょ?」




「え?…なんで…」




「でも慶ちゃんは、やっぱり凌華ちゃんを助けてあげられたよ?」




「俺が…?」




俺はまた前を向いて歩き出した。




その話題に触れたくなくて、止まっていたくなかったから。



助けた?どこらへんが?



麻美は俺の背に身を委ねて話し始めた。



「凌華ちゃんに、居場所を作ってあげたじゃん。ここにいていいよって言ったでしょ?」




「だけど、なんでそれが…」




「もう、病院着いちゃったね」




麻美はさり気なくはぐらかすと




きゅっと背中に顔をうずめた。




「麻美」





「凌華ちゃん、きっと慶ちゃんのとこにいることで、気持ちの整理がつくはずだよ」




麻美がそっと呟いた。




俺がふっと振り返ると、麻美は小さく寝息をたてていた。




「…寝るの早すぎだろ」




俺はそんな麻美を見て苦笑した。




麻美を病室に送り届けて病院を出る頃には




もう11時を回っていた。




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