壊れた御守り
第18章 家族
行きと違って、ひとりになった俺は静かに歩く。
雪が地面に薄く層を作っていた。
麻美はいつも
俺の考えてることを知っているように励ましてくれる。
俺は立ち止まって空を見上げた。
街灯に照らされ、スポットライトのように見える。
降り続く雪が、優しく俺の顔におりた。
俺は手を翳すように空に向けた。
なんだろな。
俺って単純なのか?
こうしてるだけで、不思議と安らいだ。
麻美に言われた言葉が頭の中に響き、
降りしきる雪が顔にあたれば
わかってやれないもどかしさも
殴ってしまった罪悪感と感触も
全部、洗い流されるように思えたんだ。
俺は深呼吸をして走り出した。
家に帰ると、リビングの電気がついていた。
こんな時間になんだ?
そう思ってリビングの扉に手をかけると
声が聞こえた。