壊れた御守り
第5章 麻美のバトン
「何やってんだ。お前ら」
先生が怒鳴る。
や、怒鳴るっていうより
呆れてる…。
「あーあ、慶太。リレーどうすんだよ」
びっくりして駆けつけた潤平が言った。
「……あのさ、
マジで殴ったのは謝るからさ、
消えてくんない?
頼むから」
「なんなんだよ!!怪我してんだぞこっちは!!被害者はオレだ」
はぁ?被害者?
ぬかしてんなよ。
被害者は俺でもてめぇらでもねぇんだよ。
ほんとの被害者は麻美だろ…?
「とにかく、君らはここで反省しなさい。何があったかは知らないが
高校生にもなって情けないぞ…」
先生はそう言って、傷の手当てをした。
最初の方は俺も殴られた。
相手ほどではないけど、俺の口は切れていて、
顔には痣が出来ていた。
正直、痛みなんてなかった。
麻美の傷に比べればこれぐらい…。