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壊れた御守り

第5章 麻美のバトン



麻美、怒ってんだろうな…。



今頃、潤平が代わりに走ることを知らされてるはずだ。



「はぁ……」



「小南…」



俺は初めて、殴ったのが健太のクラスの

尾沢大志だったことに気づいた。



「なんだよ。話しかけんな」



「あのさ、お前って、浅野の何なの?」



こいつ、また殴られたいのかよ。



頭が冷えたからさっきよりはマシだけど


穏和に会話なんてできねぇんすけど。



大志は尚も話し続けた。



「お前、中学ん時はそんなんじゃなかったじゃん。
どっちかってーと、さっきみたいな時は俺らと一緒に…ってやつだった」



「なんだよ。うっせぇな。悪ぃかよ」



「や。そうじゃなくて、なんでそんなに浅野の肩を持つんかなって思っただけだって」




「別に…。たまたまだよ」



俺は静かに言って窓の外を見た。



リレー、もう始まったのか?







「………麻美?」




行かなくちゃ。




直感でそう思ったんだ。



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