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壊れた御守り

第5章 麻美のバトン

麻美が走り出した。


だけど、あのときのように走り方はおかしかった。



「小南!!」



俺は大志の手を勢いよく振り払うと、窓に足をかけて飛び出した。



あいつが、倒れる。


直感でそう思った。


だから走った。




「あの5走目、超遅くね?」



「せっかく1位だったのに、もうビリじゃん」



「かわいそー」



いろんな声が聞こえた。



多分、麻美にも聞こえてんだ。



麻美は苦しそうに、それでも一生懸命走り続けた。



そんな麻美、見たくなかった。



これじゃ、見せ物だ…。



誰か、麻美を助けてやれよ。



誰が?




そんなん、“誰が”じゃねぇだろ。




「どけ潤平」




俺しかいねぇだろ。



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