壊れた御守り
第5章 麻美のバトン
「なっ!?小南!?」
クラス中がざわつき始めた。
血が所々について
痣が出来てる、傷だらけの俺を見て。
「お前、無理だろ。下がれ。代わりに走ってやるから」
「うっせぇな。麻美のバトンを受けるのは俺だ。」
俺は下がらなかった。
潤平を無視して麻美を見つめる。
潤平にいきなり肩をつかまれた。
「たかが体育祭のリレーだろ?何ムキになってん…ー」
「…その“たかが”体育祭で麻美が死んだらどーすんだよ!?」
「は……?」
潤平はそれ以上何も言わなかった。
「麻美!!ゆっくりでいいから、ここまで来い!!」
俺が叫ぶと、麻美が声に気づいて顔をあげた。
「…ちゃん……慶ちゃん!!」
麻美は泣いてた。
すぐにホッとしたように静かに笑って踏み込んだ。
俺は必死に手をのばす麻美から
水色のバトンを受け取って走り出した。