壊れた御守り
第5章 麻美のバトン
漫画なんかではこういう時、
都合よく1位になったりすんだよな。
だけど、そんなことあるわけもなく、
気づけばリレーは終わっていた。
「小南!!超かっこいいんですけど」
「すげぇ…。まさかの」
「やってくれると思ってたんだよ」
「うっせぇな。3位だろが。
何1位とったみたいなリアクションしてんだよ」
そ。俺らクラスは3位に終わった。
みんなはビリじゃないならいいらしい。
なんだよ。
俺、超必死だったのに…。
ていうか、今思い出したけど
体痛ぇ…。
大志に殴られたの忘れてた。
「小南。お前何やってんだ!!出るなって言っただろ」
先生が俺の前で仁王立ちになり、呆れた顔をした。
「すんません。先生、説教ならまた今度…」
俺は辺りを見回した。
クラスの奴らが騒いでいる中に、1人いなかったから。
「何!?おい、ちょっと待て…ー」
先生の声を背中に受けて、俺は歩き出した。
どこだ?どこにいる?
校舎裏まで行くと、麻美の後ろ姿が少しだけ見えた。