壊れた御守り
第6章 麻美or健太
「なん……そんなの関係ねぇんじゃ…」
「あるんだよ。お前ら見てるの、やなんだよ。今まで我慢してきたけど、
もう好きで好きでしょうがねぇんだよ」
“好きで好きでしょうがねぇんだよ”
気付かなかった。
健太の気持ち。
気付かなかった。
周りから見た俺と麻美。
俺が何かを言う前に、
健太がすかさず口を開いた。
「俺、浅野のことを想えるなら、お前との関係が崩れてもいいと思ってる」
「は……?」
「そこまで、俺の意志は強いってこと、お前に言いたくて…。今日言いたかったのはそれだけ」
健太はそう言うと、ゆっくりと歩き出して、店を出て行った。
後ろの方で、カラオケを楽しむみんなの声が聞こえる。
胸がざわざわする。
なんなんだよ。
なんなんだよ。この感覚。
俺、こんなとこで何してんだ?
「くそ……っ!」
腹が立って、訳わかんなくてしょうがねぇ気持ちを抑えて
壁を叩く。
もう、何がなんだかわかんねぇ。