壊れた御守り
第6章 麻美or健太
「おい、小南!!いつまで突っ立ってんだよ?早く来いよ」
中から潤平の呼ぶ声が聞こえた。
俺は慌てて返すと、ゆっくりと中に戻った。
「あら、橋本は?」
「あぁ!?………知らねぇよ」
「なんだよ。荒れてんな…喧嘩したか?」
俺がこの雰囲気を壊してるのは100も承知だ。
だけどずっと、
頭の中をぐるぐる回ってる。
健太が麻美を好きだって?
俺には関係なくね?
なんなんだよ。
“関係が崩れてもいい”
だぁ?
頭おかしいんじゃねぇの?
何が近づくなだよ。
健太の野郎…。
「慶ちゃん…大丈夫?」
麻美が俺の顔を覗き込んだ。
「あ?あぁ、大丈……」
“好きで好きでしょうがねぇんだよ”
「…慶ちゃん?」
「なんでもねぇ!!あっちいってろよ」
なんなんだよ俺。
何気にしてんだよ。
まさか、健太の一言で俺が崩れるなんて
思ってもなかった。