壊れた御守り
第6章 麻美or健太
ほんとは嬉しかった。
こいつに…麻美にそういってもらえたことが。
「良いよ。フォローしなくても」
「フォローとかじゃなくて、ほんとにそう思っただけだもん」
そう言って可愛く笑う麻美。
つい、麻美の頭に手を伸ばした。
“好きで好きでしょうがねぇんだよ”
「……っ」
まただ。
麻美を見ると健太の声がする。
なんでだよ。
別に関係なくね?
てか俺、さっきからこればっか。
「慶ちゃん?大丈夫?」
俺は伸ばした手を引っ込めた。
麻美に触れちゃいけない。
健太の顔が浮かんだ時、
ふとそう思ったんだ。
「なんでもねぇ。行くぞ。…送ってく」
ついつい、手をひきそうになったのを抑えて、
俺はゆっくりと歩き始めた。
後ろから、麻美がついてくるのがわかる。
「…慶ちゃん」
ふと、麻美が呟いた。
俺が振り返ろうとしたそのときだった。
「は…?」