壊れた御守り
第6章 麻美or健太
呼吸が止まったかと思った。
そう思うほど、息をするのを忘れていた。
麻美が、俺の手を握ったから…。
「麻美…。何してんー」
「……どうして、避けるの?」
「え…?」
麻美が発した言葉は意外な一言だった。
なんで、そう感じた?
なんでわかった?
俺は、麻美を傷つけた?
急いで振り返ろうとすると、
麻美は俺の背中にしがみついた。
「な……」
麻美の体温を背中に感じる。
麻美、泣いてる…?
「あたし、迷惑かけすぎたから、もぅ嫌になった?」
「え…」
「あたしのせいで、学校嫌いになった?」
「麻美…そんなこ…」
「慶ちゃんは…あたしのこと、嫌い?」
“好きで好きでしょうがねぇんだよ”
“浅野から離れてくれよ”
“俺さぁ、浅野のこと…”
“…っ好きなんだよ”
“慶ちゃんは…あたしのこと、嫌い?”
ぐるぐる、ぐるぐる回ってる。
俺は、どうすればいい?
麻美の握りしめた手が、震えているのがわかった。