壊れた御守り
第8章 告白と夢
「いた…」
麻美を探して走った。
あいつ、購買じゃないじゃん。
見つけたのは屋上で、麻美はフェンスに手をかけて空をみていた。
「麻美、どした?」
俺は麻美の背中にそう話しかけた。
麻美は答えなかった。
こっちを見ようともしない麻美。
ただ、上の方を向いてじっとしていた。
風が、麻美の長い髪を揺らす。
「なぁ、麻美…」
「慶ちゃんは…」
俺が話しかけたとき、麻美が初めて喋った。
悲しそうに、そっと呟く。
「麻美…?」
「慶ちゃんは…今、幸せ?」
「は…?」
“今、幸せ?”
「お前、何言って…」
「あたしは、幸せなの…」
「麻美…?」
急にどうしたんだ? なんで麻美はこんなこと…。
「慶ちゃんは…幸せ?」
「や…わかんねぇけど、なんでそんなこと聞くんだよ?」
「だって…あたしが…」
麻美はそう呟いて口を閉ざした。