壊れた御守り
第9章 約束
俺はその日の放課後、麻美を連れて大塚という知り合いの美容室に向かった。
「んじゃ、慶太くんの頼みだから、頑張っちゃうかな?」
「うっせぇ。早くしろよ。口動かすより手動かせ」
花火と言ったら浴衣だよな。
特別にレンタルしてくれるっていう浴衣を借りて、着付けを頼んでいた。
「あんたは?浴衣」
「俺はこのまんまでいいよ」
大塚さんが目を光らせて俺を見た。
「あんた…彼女に告白するなら、気合いいれなきゃ」
はぁ?
もう告ったっつぅの!!
「慶ちゃん…」
奥から出てきた麻美を見て、思わず呼吸を忘れるくらいだった。
超綺麗で、かわいかった。
「あ…その……」
「ほら、あんたも着付けしてあげるからおいで~」
「はぁ?ちょっ…!!なんだよ!」
男は女よりも時間がかからないから、俺の着付けはすぐに終わった。
麻美の待つ表へゆっくりとでる。
「慶ちゃん…かっこいい…」
麻美がはしゃいだように笑った。
「おぅ。…んじゃ、行くか」
俺は歩いている間ずっと、頬がゆるんで仕方なかった。
だって、少し化粧をした麻美の笑顔がいつもと違った
大人っぽい雰囲気がして綺麗だったから…。