テキストサイズ

壊れた御守り

第9章 約束



近くの河川敷で開かれている花火大会は、意外と人が多くて




俺は麻美の手を引いて出店を見て回った。




「麻美、何食いたい?」




「あたし…綿飴食べたい」





「おし。綿飴な」



「慶ちゃん、お金…」



麻美はお金を出そうと慌てて俺の裾を引っ張った。



「大丈夫。こういうのは俺に奢らせときゃいーの」



「…ありがとう」





麻美が頬を赤らめてそう呟いた。




「慶ちゃん、慶ちゃんも何か食べよう」



「俺?俺はいいよ。腕骨折してるし。手塞がったら麻美連れて歩けねぇし」



骨折って不便だ。




そう思っていると、 麻美が綿飴を差し出す。



「こっちがわ、食べていいよ」





そう言っていじらしく笑う麻美。






遠慮がちに食べた綿飴は不思議とすごくおいしかった。




もうすぐ、花火が始まる。




「麻美。こっち」




俺は麻美の手を引いて、場所を移動した。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ