壊れた御守り
第9章 約束
小さなベンチがちょこんと置いてある近くの公園に入る。
2人並んでベンチに座った。
「麻美、具合悪くねぇ?足とか大丈夫か?」
「うん!!大丈夫」
「そっか…」
アナウンスが入って拍手が響く。
打ち上げが始まる。
ドン-
大きな音がして、空いっぱいに花火が広がった。
「わぁ…綺麗……」
横目で麻美を見ると、一生懸命花火に食いついてる姿がすごく綺麗で
花火を見るよりも麻美を見るのに必死だった。
神様は、残酷だって
その時思った。
こんなに、素直で可愛いこの子に
あんたはどうして、“余命”なんていう無惨な爆弾を突きつけたんだよ。
無邪気に笑う麻美に、
どうしてあんたは、 “心臓病”なんていう試練を与えたんだよ。
俺にすればよかったのに…
代わりに、俺につきつければ良かったのに。
なぁ。
俺は、麻美が笑っていてくれるなら
どんな爆弾だって背負ってやる。
だからお願いだ。
この子から、幸せを
笑顔を奪わないでやってくれ。
「なぁ、麻美…」
「え?」
「約束…」
約束を交わそう。
2人だけの約束を…。