壊れた御守り
第9章 約束
「約束…?」
「あぁ。すっげぇ簡単で、小さい約束」
麻美はきょとんとした顔で俺を見つめた。
そう。
簡単なんだ。
だから俺ら、絶対守れる約束。
俺は息を一つして、花火を見上げた。
「毎年、見よう」
「え…?」
「毎年ここに来て、この場所で一緒に花火を見よう」
「慶ちゃん…」
あぁ。
俺はなんて残酷なんだ。
こんな、簡単そうで一番難しい約束
わかってる。わかってるけどやめられなかった。
ここで言わないと
一気に言ってしまわないと
声をあげて泣きたくなってしょうがなかったんだ。