壊れた御守り
第2章 出会いと異変
それから俺は自分でもうざいくらい、
毎日話しかけた。
『浅野。おはよ』
『……おはよう』
怪訝そうに挨拶を返す麻美。
『なんだよ。そんな顔すんなって。麻美ちゃーん』
『麻美ちゃんって言わないで』
『ダメ?いいじゃん。そのほうが可愛いし』
『かわ……』
『あら?もしかして照れちゃった?麻美ちゃーん?』
知ってる。
麻美が何て言ったら照れるのかを。
麻美は顔を真っ赤にして俺を見上げる。
『麻美ちゃんでも別にいいよ?慶ちゃーん』
『は?なっ…!?』
慶ちゃん?
男に“ちゃん”ってつけるか?普通。
『やーい。引っかかった!慶ちゃん』
『うっせぇなぁ!!ブス』
『出た。性格悪魔くんが』
『はぁ?んだよそれ』
こんなやりとりが続いて、毎日が過ぎていった。
別に、本気でムカつくわけじゃないけど
何かとあればいつも仕返しという名目で
麻美に絡んでいる自分がいたんだ。