職業、遊び人ですが?
第1章 女勇者と遊び人
むさ苦しいラルー酒場の入口に佇む少女。
大きな瞳に艶のある黒髪。幼さをさらに割り増しにしているのは顔立ちだけでなく、ショートカットの髪型と小さな胸を強調している体型にフィットしているシャツ。付け加えれば、ショートパンツから伸びる健康そうな脚線美も幼さを演出させている要因にもなっている。
「看板を見てなかったのかい?」
「ここは雑貨屋さんじゃないよ」
そう優しく声をかけてくる者もいるが、「一晩いくら?」などの卑猥な目をして少女に近寄ってくる者もいた。
少女にとっては失礼極まりないことであるが、実力社会の世界にあって酒場内はその縮図ともいえる。
金銭や力のある者が、偉い。
そういった実力者に媚を売り、あわよくばとすりよってくる者も少なくない。百戦錬磨の猛者であった冒険者が色恋沙汰により、パーティー崩壊を招いた例もある。この酒場に似つかわしくない少女を嘲笑しているかのような視線は警戒していることも含まれていた。
「け、結構ですっ!」
ストレートな卑猥な言葉たちの応酬に顔を赤らめた少女は少し頬を膨らませ酒場の奥にあるカウンターへと向かった。
カウンターの中の酒場の店員も仲間を探しにきた者もこの少女がラルー酒場にやってきた理由は容易に想像できる。新人にありがちな酒場ランクが高い酒場に自らを登録することであった。
確かに少女を主人公キャラと判断することは常人では考えつかない。