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職業、遊び人ですが?

第1章 女勇者と遊び人


 セミロングの金色の髪に逆立ったまつ毛、肉厚な唇には赤いルージュ。それだけでも男を虜にしそうであるが、ベビードールから見える胸の谷間は虜にならなかった場合でも欲情させるに易い。派手なようにも感じるが、どこか知的なところを思わせる顔立ちがそれをさせない。

 この酒場の女主人であるラルーが4日ぶりに店頭に立った。

 酒場ランクを押し上げている敏腕もあるが、ラルーの美貌目当てに酒を飲みにきている者もいた為か黄色い声があがる。だが、いつも以上には盛り上がらないのはラルーの視線の先の少女が理由であることは明確である。

 「へぇ…可愛らしいルーキーさんね」

 頬杖をつきながら艶っぽい声のラルー。少女は舐められるような視線にくすぐったい気分に侵されてしまうが、これがラルーのやり方である。

 高レベル、高スキルのパーティーは強い。だが、同時に長続きしない傾向もある。特にレベル99になってしまうと自らが主人公キャラになりたいと思ってしまうのが人の性である。余程のカリスマ性や大量の金銭を持っているなどの段違いの力がない主人公キャラでは仲間を留意させることができない。

 大事なのは性格の相性や利害の一致だとラルーは考えている。この酒場を開く前は自らも冒険者として数々のパーティーに属していた。そこから導きだした持論は100%ではないが、好評を得ている。

 5年で酒場ランクBにできたのはパーティー解消する数が少ないことも大きな要因となっている。

 だからこそラルーは主人公キャラを見る。見て、分析する。他に仲間がいるのであれば、引き合わせてもらい同じく分析する。そして、戦力になるならないに関わらず、パーティー活動が円滑になるべき者を紹介する。

 例をあげればキリがないが、完璧主義なパーティーに何もできない者を入れる。それを可愛がる可能性もあるが、多くはパーティー内で疎外される。結果としてストレス発散などの捌け口になり、結束が固まる。

 中には男パーティーに性奴隷を、などの荒いものもある。

 何にせよ、ラルーが関わったパーティーは5年間で1000組を超えるが、現存パーティーでパーティー解消されたのは1%に満たない。

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