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素直になろうよ

第2章 不可抗力

目の前で婆さんが包丁を研いでいる。


しゃこーん、しゃこーん。

俺はそれをじっと見下ろしている。


しゃこーん、しゃこーん、しゃこーん・・・



ガバッと起き上がり、魂まで吐き出す勢いでため息をついた。


どんな夢だ!

婆さんが包丁を研いでいる夢なんて、気味悪いことこの上ない。


「婆さん、こえぇ」

ポツリとつぶやくと、少し離れたところからよく聞き知った声が降ってきた。


「くくっ。婆さん?どんな夢だ」



内海一成。30歳。今日もキラキラするほど眩しい笑顔でそこにいた。

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