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素直になろうよ

第2章 不可抗力

「資料ありがとう。助かった。あとは俺がやるから、まだ寝てろ」

そう言って、内海はコピー機をポンポンと撫でるように叩いた。


午前6時前。
始発で来たのか、この人は。

コピー機がフル回転で紙を吐き出している。

しゃこーん、しゃこーん・・・



これか・・婆さんの正体は。

ちょっとおかしくなって、笑いながら内海を見た。


「熱、大丈夫ですか?」

自分の声ではないようなかすれた音に、内心慌てながら、立ち上がり伸びをした。

身体が軋んでパキパキ鳴った。



「昨日、早く帰らせてもらったからな。久しぶりに爆睡した。おかげでもうすっかり良くなったよ。お前はちゃんと寝たか?始業まで寝てていいぞ」

清々しいくらいの笑顔をくれた。
それだけで、すべてが癒される。

「いや、もう大丈夫です」



そして、俺は寝ぼけていたんだ。
じゃなければ、この時の俺は本当にどうかしていた。


目覚めて一番初めに内海課長の笑顔なんか見たからか・・

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