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素直になろうよ

第2章 不可抗力

内海の側に寄って行って、すっと手を差し出した。

課長は俺の手をぼんやりと見ているだけ。



拒まれもしない俺の手は、内海の形の良い額にそっと収まった。

「熱、ないですね」


そう言ってから、たっぷり1分間。
俺はそのままの姿勢で固まった。


えーと・・
何を、してるんだ。俺・・

課長のおでこ触ってる。



ん〜。
なんで?


え?


ええ?!!





「わ!!す、すみません」


慌てて手を引き剥がし、一歩後ずさった。

上司のおでこに手を当てるなんて、どっからどうやったらそんな構図が出てくるんだ。


もうなんかいたたまれなくなって、今すぐその場から走って逃げようと体勢を構えた時。



「加瀬宮。大丈夫か?お前が顔真っ赤だ」

そう言って、事もあろうか内海のアホは俺のおでこに手を当てた。

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