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素直になろうよ

第13章 すぐそこにあったもの

どのくらいの時間が経ったのか。
永遠にも思えるような祈りの時間は、手術室のドアが開いて終わりを告げた。


「付き添いの方ですか?」
医師と思われる緑の手術着の人が近づいてきた。

「はい。同じ会社のものです」

「加瀬宮さんですが、大腿骨が折れて肉を突き破った状態でした。あとは打ち身と所々にヒビが入ってましたが、命に別条はありませんでした」

「は・・い」

死なないんだ・・
良かった・・

「頭を打っていたようですのでCTも撮りましたが、問題なさそうです。しばらく様子を見てみますが、大丈夫でしょう」

大丈夫なんだ・・
良かった・・

「とりあえずまだ麻酔が効いていますので、お戻りになってご家族に連絡していただけますか?」

無事なんだ・・
良かった・・



医師が去ってから、しばらく動けなかった。


良かった・・。

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