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素直になろうよ

第14章 つなぐ気持ち

「加瀬宮」

「課長どこも怪我はないですか?」

「ない・・」


何だか本当に怒っているようだった。



「良かった。それにしてもびっくりしましたね。正月早々、災難でしたよね」

努めて明るく声を掛けるが、内海の態度は変わらないまま。


「足、痛むか?」

「いえ、痛み止めガンガンいれてもらってるんで、麻痺してる感じですかねぇ」

「そうか。お前・・・・・」



内海の言葉が途切れた。



俺はびっくりして、彼の顔をじっと見つめた。

だって、課長の頬に涙が伝ったんだ。

ポロポロと綺麗な粒のような涙が。



内海はそれを拭うでもなく、ただ俺の目を見ている。
俺もその視線を辿って、潤んだ彼の瞳に焦点を結んだ。

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