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素直になろうよ

第3章 期待と勘違いと諦めと未練-恋なんてそんなもの

「おい!加瀬宮。どうした?」

今まで穏やかに、柔らかい笑みを浮かべていた内海が、突然目を見開いて俺を見た。


「え?なに?どうもしてませんよ?」


何杯めかのビールに口をつけながら、ジョッキを透かして内海を眺めた。

内海が何人にも分裂しているように見える。



こんなにいっぱい内海課長がいるなら、一人くらい俺にくれてもいいよなぁ。

なんて、ぼんやり考えていると。





「なんで泣く?」



内海が困ったような顔をして、俺をじっと見ていた。





へ?




やばい感じ?




自覚のない涙は、とうとう内海本人を目の前にして溢れ出てきていた。

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