素直になろうよ
第1章 枯れない涙
営業部企画課課長、内海一成。30歳。独身。
さらっとした柔らかそうな髪。形の良いフェイスライン。
当たり前だが、女子社員からの熱い視線は両手で数えきれないほどだ。
内海課長はいつも笑っている。
仕事が相当立て込んでいる時も、誰かがミスをした時も、営業の奴らにイヤミを言われた時も、何でもないって風にアホみたいに笑っていた。
入社してすぐに、俺がやらかしたドでかいミスも
笑いながら「大丈夫。次は気をつけろよ」と言っただけで、それから一週間近く会社に泊まり込みでそれの対処修正をしていた。
ミスをした女子社員は、内海課長と俺に泣きそうな顔を向けて何度も謝っている。
確認を怠ったのは彼女で、それに気づいたのにスルーしたのは俺だ。
本当なら俺も謝る場面だった。
課長はまたちょっと困った顔をして、それから女子社員の頭をポンポンと撫でるように叩いた。
「ここのところ、忙しくて皆煮詰まっているからな。今日はもう皆帰れ」
その言葉に、皆の視線は内海課長に集中した。
いやいやいやいや!
待て待て待て!
何を言い出すんだ、こいつは!
帰れるわけねえだろうが!
明日社長が出席する会議の資料が、ごっそり間違っているんだぜ!
そりゃ、さっき大丈夫って言ったよ?言ったけど!
明日は必ず来るんだぜ!
さらっとした柔らかそうな髪。形の良いフェイスライン。
当たり前だが、女子社員からの熱い視線は両手で数えきれないほどだ。
内海課長はいつも笑っている。
仕事が相当立て込んでいる時も、誰かがミスをした時も、営業の奴らにイヤミを言われた時も、何でもないって風にアホみたいに笑っていた。
入社してすぐに、俺がやらかしたドでかいミスも
笑いながら「大丈夫。次は気をつけろよ」と言っただけで、それから一週間近く会社に泊まり込みでそれの対処修正をしていた。
ミスをした女子社員は、内海課長と俺に泣きそうな顔を向けて何度も謝っている。
確認を怠ったのは彼女で、それに気づいたのにスルーしたのは俺だ。
本当なら俺も謝る場面だった。
課長はまたちょっと困った顔をして、それから女子社員の頭をポンポンと撫でるように叩いた。
「ここのところ、忙しくて皆煮詰まっているからな。今日はもう皆帰れ」
その言葉に、皆の視線は内海課長に集中した。
いやいやいやいや!
待て待て待て!
何を言い出すんだ、こいつは!
帰れるわけねえだろうが!
明日社長が出席する会議の資料が、ごっそり間違っているんだぜ!
そりゃ、さっき大丈夫って言ったよ?言ったけど!
明日は必ず来るんだぜ!