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妄想しながら素直になろうよ

第5章 会議で妄想

「も・・や・・ゆる、して・・・」

声にならないような微かな声で、俺に懇願した。
それは本当は声ですらなく、唇がそう動いただけだったかもしれない。


「もう終わりますよ。ミーティング終わったら出してあげますから」

殊更優しい声で囁いた。











「では、これで中間報告会議を終わりにします。皆さんお疲れ様でした」



「お疲れ様ー」
の声が飛び交い、皆がガタガタと立ち上がる騒々しさの中、内海はじっと椅子に座ったまま動かなかった。



俺はその姿が不自然にならないよう、ファイルを広げどうでもいい資料を指差しながら内海の傍らに立って話しかけた。










「っっ・・・やっ・・とめ・・て・・」

誰もいなくなった会議室に、今度こそはっきりと内海の声が響いた。
再びスイッチを二つ弾いたのだ。

「おかしく、なっ・・あっ、あっ、やだ・・」

「課長、感じたらいけないようなところで気持ちよくなっちゃうのって、どうです?」

「しん、じゃ・・う・・あっ、やぁ・・・」

俺しかいないという安心感があったのか、内海はすがりつくように抱きついてきた。


「おねが・・ど、にか・・して」

「誰もこない資料室、行きますか?」


含みを持たせて誘うように聞いてみると、声もないままコクコクと頷いた。

「じゃ、行きましょう」

「あっ、えっ・・や、これとめ・・・て・・」

「俺ファイル山のように持ってますから無理ですよ。課長自力でお願いします」

「ぁぁぁ、かせ・・む、り・・いっ、ちゃ・・・」

内に篭った快感が今にも内海を食い破って破裂しそうなのが見て取れる。

仕方ないなぁ、と笑いながらすべてのスイッチをオフにした。

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