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好きだって?

第4章 再び冷戦









「……」





帰り道、お互い無言のまま歩いていると
郷見が急に口を開いた。



「聖也さん、まだフられた彼女のこと引きずってる?」

「え?」

「どうなの?」

「別に、未練とかねーよ」



急な問いかけに、一度は戸惑ったが、すぐに答えは出た。

今思えば、話題を出されるまで、俺自身も元カノの事を
思い返すようなことはなかった。




「そっか、じゃあ、気になる人は?」

「気になるやつ?」

「うん」

「今はいないかな〜」

「本当に?」

「ああ、結構晋と飲んだり、仕事の事話したりしてんのが楽しくてさ、そんな事考えてなかったな〜」

「……」


郷見の表情が一気に曇る


「…どうした?」

「またあいつの話…」

「あいつ?…あ、晋か」

「聖也さん、俺といる時は晋くんの話出すのNGね!」


郷見は子供みたいに頬を膨らませて怒った。


「な、なんでだよ!」

「ムカつくから!」

「む、ムカつくって…お前…
どんだけ晋の事嫌いなんだよ、あいつ超いい奴だぞ?」

「知ってるよ!
でも俺にとって今はイヤな奴だから!」

「い、意味わかんねえよ…」

「聖也さんはさ、少しくらい僕の話してくれたっていいんじゃない?」

「……」

「…どうしたの?」

「…お前の話って言ったって…
俺さ、お前の事、名前以外知らねえんだけど…」

「……」

「……」



お互いの間に沈黙が流れる。


「…あ、そっか〜!」


郷見は沈黙を破り、頭をかいてにへら〜と
笑った。






















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