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気が狂いそうな快感の後に

第3章 誘拐猫とリーダーと

「普通ではないな」

そりゃあそうだろう。
マフィアで暗殺をやってるような人間が普通であるはずがない。
私は敏感ではないが、このアパートの住人の目は、明らかに普通の人間の目ではなかった。

既に数多の血を見てる、目。

しかし彼らが其処まで堕ちてしまったのは必ずそれ相応の理由があるのだ。
望んでこうなった人はいない。

それは私が良く知っていた。

「普段は優しくて話好きだ。それだけじゃあなく学はないが頭もきれて冷静だ。生活力も十分あるし、あいつはなにより強い。ちゃんとお前を守れるはずだ。ただ…」

そこで榊は言葉を切った。
なにやら酷く考え込んでいる。

不意に後方のドアが開いて、あの、私を連れ去った少年のような青年、もとい千歳が姿を表した。

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