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気が狂いそうな快感の後に

第3章 誘拐猫とリーダーと

千歳は、やはり見れば見るほど年上とは思えない容姿をしていた。
体つきは成人男性としては異常に華奢で、それを隠すような厚手のジャンパーを羽織っている。小さい顔に茶髪、茶色い瞳に大きな目。やや低めで小さい鼻。
「猫」という言葉がぴったりなその彼、千歳は私を視界に捉えるや否や、
私に向かって膝をついた。

「…ごめんなさいっ!!」

叫びながら「ジャパニーズ土下座」をしようとしている千歳を、私は必死に止めた。

「大丈夫、もう諦めたから!さっきリーダーにごめんなさいされたから!!」

諦めたってなんだよ…
でもまあ、突然の土下座は面食らったが、正常な感覚の持ち主(?)らしいことは分かった。

「千歳、とりあえず起きてくれ」

リーダーが千歳を立たせる。
さながら親子のようだ。

「茜はとりあえずこの前話した通り、ウチで保護することになった。
彼女の生活の場はお前の部屋にさせて貰ったが、いいな?」

「わかった」

そして千歳は茜に向き直った。

「あんまり綺麗な部屋じゃあないけど、よろしく」

「こっちこそ、よろしく…」

あまりにも普通の応対で困る。
どこが普通ではないのかというと、声と外見だろう。

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