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プリンセスを護衛

第21章 長編 冬の関西紀行

優馬がじっとしているのを見て夕人が聞いた

「もしかして、バイクの免許持ってない?」

「そうじゃないんだ。」

「じゃあなんだ?」

「ありがとう。」

一言いうと優馬は泉を後ろに乗せ、自分は前に乗るとミナミの方に走らせた。

「千葉くん、」

泉が優馬に話しかけた。

「何だ?」

「なんで、そんなに冷静でいられるの?」

「冷静ってわけじゃないんだ。本当は切れたって言った時、泣きそうになったんだ。正確に言うと無理に明るく振舞ってるだけさ。」

優馬は落ち着いた静かな声で言った。

前方に通天閣が見えてきた。

「もうすぐだ。」

優馬が前を見たまま言う。

「着いたら降りられるようにしとけよ…」

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