聖夜に天使は舞い降りて~angel only for me~
第5章 朝、夢と現実の間で……
「お待ちどおさまでした♪ ご飯できましたよ?」
弾んだ声が聞こえると共に僕は現(うつつ)に引き戻された。
「へ? ご飯……?」
間抜けな声を出している間に次々と並べられる朝食。
とはいえ並べられるという程の量はなく、白いご飯に目玉焼き、それと・・・。
───いやそれだけだった。
「ごめんなさい、冷蔵庫にあった有り合わせの物で作ったのでこんな物でしか用意できなかったんですけど……」
そりゃそうだ。
今、冷蔵庫の中には調味料以外卵しか入ってないんだから……。
「ん~……、何で朝飯……?」
「何でって、お腹空きましたでしょう?」
「ん~? まあとりあえずは……」
彼女が用意した朝食を目の前にしてしばらく固まる。
「・・・・。これって、まだ夢? 食べられるの?」
それを指差しながら彼女に尋ねる。
「何言ってるんですか、本物ですよ。早く召し上がらないと冷めてしまいます」
目の前にいる彼女の存在や朝食に半信半疑ながらも、とりあえずご飯だけは食べようと思い直す。