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聖夜に天使は舞い降りて~angel only for me~

第5章 朝、夢と現実の間で……

半信半疑なのは彼女が天使かどうかということだけじゃない……。


それどころか、こんな可愛い娘が僕の目の前にいるというこの境遇自体が信じられないんだ。


「だってこれは夢だとばっかり……」


嘘をつくのが苦手な僕はつい本心を口にする。


「やっぱり……。まだ夢だと思ってたんですね?

私は夢なんかじゃありません……。

そう信じて頂けるよう、頑張った・・・つもりですけど・・・」


そう言いながら彼女は俯き、顔を紅らめながら段々と声が小さくなってゆく。


“まだ”夢だと思って、ってどういう事だろう?


それに頑張ったつもりって・・・。


朝食のこと?


「ご、ごめん……。とりあえず……、なんか……」


「とりあえずって、それじゃ信じてないのと同じじゃないですか───」


僕なりに取り繕ったつもりがかえって彼女の機嫌を損ねてしまう。


でも相変わらず顔を紅くしたまま俯いているのは変わらなかった。



───頑張った・・・、つもりですけど・・・───


僕の脳裏に、さっきの言葉が蘇る。


頑張った……、つもり……。


僕は一瞬、昨夜の情事を思い出した。

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