聖夜に天使は舞い降りて~angel only for me~
第1章 非モテボッチと白い羽根
バタン───。
玄関のドアを閉めると渇いた音が部屋中に響き渡った。
中も凍てつくせいか、より反響して聞こえてしまう。
それから程なくしてアパートに帰ってきた訳だけど相変わらず寒い。
寂しい僕の部屋は暖房さえ効かなそうだ……。
そんなことを思いつつ僕は石油ストーブに火を点けた。
閉め切ったもののこの部屋の中が暖まるにはしばらくかかる。
暖まるまでの間、僕は先に風呂に入る事にした。
身体の芯から温まる……。
クリスマスの精神的苦痛もこの時ばかりは解放されそうだ……。
でも逆に誕生日もあと数時間で終わってしまうんだなと思うと、それはそれで心寂しくなってしまう……。
今更ながらの時間に何か思い出に残る事をするとなると孤独な男の一人暮らし、思いつくのは一つか二つくらいしかない……。
けれど、それはご飯食べてからにしよう……。
布団にでもくるまりながら……。
この前思い切って買ってしまった、あのやりかけのゲームを対象にして……。
きっと寂しいながらも最高の時を過ごせるはずさ……。
一瞬だけど。