テキストサイズ

他人事

第5章 監禁された男

ビデオAを再生すると、そこには仮面をかぶった人間が映し出されていた。そしてその側に、口をふさがれ、椅子に厳重に固定された上野正の姿が映し出されていた。
「正!一体どうして」
仮面の男は何も言わず、近くに置いてある電動ドリルを手にし、それを回してなんのためらいもなく上野正の胸に回転したドリルを突き刺した。
「んーーーーー」
口が塞がれて大声は出せないが、上野正の胸はえぐられ、その度に体はクネクネと踊りはじめた。合計三箇所の穴を開けられた正は、高温の鉄パイプで傷口を塞がれた。その度に正から断末魔の叫び声が響いた。

仮面の人物は、何か書いてある大きな紙を取り出し、画面いっぱいにそれをみせた。
「アシタシンヤ1ジチョウドニ、オマエノアネガコロサレタレイノハイコウジョウヘコイ。ヒトリデコナカッタトキハ、コノオトコノイノチハナイ」
あずさは画面の人物に憤慨しながら、冷静をなんとか保ちつつ、DVDの電源を切った。

あずさはなんとか落ち着きを取り戻したが、焦ってもしょうがないと思い、次のビデオBを再生した。そこにはなんと、あずさの姉、麻子が殺害される様子が映し出されていた。ビデオは、どうやら麻子が犯されたあとから始まっているようであった。大の字で張り付けられた麻子の腹を、画面の人物がかっさばこうとしている。あずさはそこでビデオを止めて、すぐにトイレに向かい、激しく嘔吐した。

あずさは憎悪を全て内に閉まった後、翌日、例の廃工場へ向かうのであった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ