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ちょっと苦手な王子さま

第1章 第一章




そのあと、わたしのいる1ー5組は自己紹介カードというのを作る時間になり、これからの予定などのプリントが配られ少しバタバタしていた。




コロッ…


ん?消しゴム…



「大鳥さん、消しゴム落ちたよ。」


大鳥さんはプリントの山を整理してたら肘に当たって消しゴムが落ちたけどそれすら気づかないくらい大変そうだった。



「へ!?あぁ、ありがとう!ごめんごめん!」


「大鳥さん、大変そうだね。手伝おうか?」


「うん〜お願いしてもいい?もらったプリントバラバラになっちゃって…てゆうか、大鳥さんってなに?ちゃんと名前で呼んでね!」



「え…でも…」


わたしは人を下の名前で呼んだことが無かった。
いや、あったのかもしれない。
けど今はそんなこと覚えていない。



「でもってなに!?あ、わたしの名前忘れちゃった?」

「ちがっ…忘れるわけない!神菜!神菜だよ!」

あ…



「呼べるじゃん♪ありがと!じゃあわたしも、亜弓って呼んじゃおうかな??!フフ♪」



今のはほんとに衝動的というか瞬間的というか…
ビックリした…。


名前…呼んじゃった…。



「それではみなさん、ホームルームを終わります。明日も元気に登校してくださいね。さようなら。」



ホームルームが終わって、帰る支度をしていたら神菜…が、やってきた。


「ねぇ、ちょっと寄り道しない!?」

「うん、いいよ。今日は時間ある。」


「ほんと!?やったー!!じゃあ早く行こう、亜弓!」



神菜はウキウキしながらわたしの少し前をスキップして歩いた。





「名前…ちょっといいかも。」

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