
愛に飢えた遊女は...
第2章 みつけた
【尚人】
氷上組の三代目。
俺はそんな重荷をしょって生まれてきた。
ヤクザの世界は年功序列と言うが組長の息子として生まれた俺は、最初から重役としての立場は決まっていた。
今は親父が組長だけど、近い将来その椅子も俺へと引き継がれる。
表向きは普通の会社だけど、やってることは最悪だ。
重役からスタートとしたために下っ端の仕事なんか知ったこっちゃなかったけど、たまたま現場に居合わせた時の光景が今も目にやきついている。
「今日までにはお金、用意できると言いましたよね?」
「すみません…準備、できませんでした…」
