
姉さんは僕のお人形
第9章 僕だけのモノに…
気づいてしまった。
いや、既に気づいていたはずだ
ただ、否定していただけだ
その気持ちを肯定すれば、もう抑えられなくなるはずだから。
そして、姉さんをメチャメチャにしてしまいそうだから…
でも、もう無理だ。
気づいてしまった。
僕は…姉さんを独り占めしたかったんだ。
そう、ずっとそう思っていた。
優斗への復讐も、姉さんに酷い事をした優斗への憎しみももちろんあった。
でも、一番は優斗への嫉妬だ。
姉さんが優斗の話をしている時、多少の胸の痛みがあった。
優斗に強姦された姉さんが、僕を頼ってくれた時、すごく嬉しかった。
もちろん、悲しみもあったけれど
「…冷、くん?どうかした?
具合悪いの?」
姉さんの手がそっと、僕の頬に触れる。
その手を素早く引き、そのまま抱き寄せる。
「冷くん…」
姉さんは抵抗せず、ギュッと僕の背中に腕を絡めてきた。
僕は何も言わないまま、姉さんを抱きしめていた。
体温が伝わってくる。温かい。
ずっとこうしていたい。
「ねえ、冷くん」
「…どうしたの?」
「私の事、姉さんじゃなくて…
麗奈、って呼んで?」
「え…名前…?」
急に名前で呼んでって言われても…
今まで「姉さん」だったから、
かなり恥ずかしい。
「れ…麗奈…」
「なーに、恥ずかしがってるの?
冷くん可愛い。」
「か、可愛くなんか…」
「可愛いじゃない。」
からかうような口調で言う。
よし、なら僕もー…
「ねえ、麗奈」
「ん?」
「麗奈も僕の事、冷って呼んでよ。」
