シアワセ∞経路
第6章 止まらない気持ち
信号が青になった歩道を渡り、何の用事もなかった私が向かったのはいつもの公園。
楽しそうな遊具はいくつかあるのに、誰一人いない寂れた公園だった。
そんなこともあって、一人になる場合はもってこいの場所だと思う。
この公園のベンチに座った時に颯太さんに会ったな……。
連絡先も聞き損ねたせいで、結局あれからずっと会えていないわけだけど。
またこのベンチに座ったら颯太さんに会えそうな気がして。
いくつかあるベンチの中から、前と同じところを選んで座った。
肩にかけていた重いサブバックを隣に下ろす。
こんなに重いのは、いつも使ってる日用品や着替えなど色々入れていたから。
家出するつもりでこのバックに荷物を詰めた。
日用品と必需品くらいだけど……。
帰る気もなくすほど、バラバラになりそうな家庭になんていたくなかった。
元々うちの両親は小競り合いが多かったんだけど、引っ越してきてからさらに酷くなった。
今はパパは仕事が忙しくて家に帰って来ない日が多くて。
ママは、知らない男の人と頻繁に出かけてるようだった。
だから二人とも私のことなんて、構っている暇もない。
家に帰っても一人だから、家出なんかしても何も変わらないんだろうけど。
とにかく、あの思い空気を感じる場所から遠ざかりたかった。
出てきたのはいいけれど、これからどうしよう……。
ましてや、行く宛てもない。