シアワセ∞経路
第6章 止まらない気持ち
「ソラ、逃げてっ……!」
私の声が届いてないのか、ソラはその場から立ち去ることをしなかった。
男三人を一人で相手するのは、力の差が歴然と考えば分かるはずなのに。
寧ろソラは……喧嘩なんてできるような人じゃない。
男はスマホをしまって、ソラの胸ぐらをグイッと掴み右手の拳を振るうとした。
絶対にソラが殴られると思って目をギュッと閉じた。
次の瞬間、ドサッという地面に何か打ち付けられた音だけ耳に入ってきた。
「うぐっ!いってぇ……」
え……。
今の一瞬で何が起きたの……。
男が地面に尻もちをついており、ソラは何ともなくその場に立っていた。
「ふざけやがって!」
反感を買ってしまったソラに、男は立ち上がり再び殴りかかろうとしてくる。
私の自由を奪っていた二人も助太刀に向かっていった。
男の拳が次々と飛んでくる中、ソラはひたすら避けていた。
なんかよく分からないけどすごい……。
終いには急所に蹴りを入れていた。
「うっ……!」
男は両手で蹴られたところを抑えてうずくまっていた。
「オイ、なんでガキごときにやられてんだよ!それにおまえ……男のくせに卑怯だぞ」
「そっちこそ、自分たちが何したか分かってます?」
厳しい言い方をしたソラは、殴り掛かってくる残りの二人にも同じようにして倒し、私の元へ駆け寄ってきてくれた。
「風子、今のうち逃げるぞ」
「うっ……、うん」
ソラに手を引かれ、公園から急いで離れて車の通りが多いところへ出た。