シアワセ∞経路
第6章 止まらない気持ち
「じゃあ、風子をこのまま放っておいたらまた飼い猫みたいに脱走するのかー…」
「なっ……、ソラには関係ないから!」
「さっきみたいなことがあったら困るだろ」
「それは……まあ…」
悔しいけれど図星だから言い返せない。
「はあ……。じゃあ、うちに来れば」
「……いいの?」
「じゃあ、風子の我ままを止めるには他にどうしろって?」
「うっ……。でっ……でも、男の人の家に泊まるのは……」
「風子が思ってるようなことはしないよ」
「……その台詞、一番信用しちゃいけないパターンだって雑誌に……」
「ん?そんなに俺のこと信用できないってことなのかなー」
「ごめんなさい!嘘です、信頼してます!……お願いします」
なんか飼い猫っていうより、私が野良猫でソラに拾われた気分。
でも今の私の我がままを叶えてくれるのは、この方法だけだった。
大人しくソラの後ろをついて行こうと歩き出すと、ふと誰かの視線を感じた気がした。
チラッと振り向くと、その誰かが電柱の後ろに隠れたようだった。
見た目は私と同じくらいの身長で、セーラー服を着ているような人だった。
佳菜美ちゃん……に似てるような。
気のせい……かな。
疲れてるだけだよね……。
こんなところに佳菜美ちゃんがいるはずない。
少し嫌な気を感じたけど、深追いするほど余裕もなかったから気づかないフリをした。