シアワセ∞経路
第7章 釣り合わない天秤
話を聞くと、颯太の好きな人は同じ高校の三年生。
今は病気で入院していて、いつ退院できるか分からない状態みたいで。
颯太は、たまにお見舞いに行っているらしい。
「その先輩は、風子に似ているんだ」
「へえ……私に……」
颯太が好きになるほどの人なんだから、きっとものすごく美人なんだろうな。
寧ろ天と地の差だ。
一体、こんな平凡な私のどこに似ているんだろう。
ドジなところ?
泣き虫なところ?
どっちにしろ自分ではいいところが思い浮かばない。
「……優しいところとか健気なところ。あと、この綺麗な長い髪が似てる」
そう言って考え込んでいた私をフォローしてくれた。
同時に髪に少しだけ触れられて、ドキッとする。
「もうすぐ先輩の誕生日なんだけど、何を贈ったら喜ぶか分かんなくて」
「女の子は、とにかく可愛い物がいいと思うな」
「可愛い物を選ぶのは前提じゃねえの?」
「そうだよね……。あっ!アクセサリーとか嬉しいんじゃないかな。 “オレは、おまえにこれが似合うと思って選んだんだ”って言葉をプラスすればパーフェクト」
数々の恋愛ストーリーで使われているだろう定番の台詞。
そんな言葉はともかく、ソラからネックレスをもらった時にすごく嬉しかった思い出があるから。
きっと颯太の好きな先輩も喜びそうな気がする。