シアワセ∞経路
第2章 面影
「キラキラネームのくせに!」
「はあ……?」
「大体、大空先輩の塑羅緒(ソラオ)なんて名前、漢字難しすぎて読める人いないんじゃないですか」
「キラキラネームじゃない!おまえこそ、小神なんて名字存在しているのかよ!」
「私がそうなんだから、あるんですー!」
名字のことは、珍しいってよく他の人にも言われるけど……。
この人に一瞬でもドキッとした私がバカだった。
怒りも込めて、掴まれていた手をバッと一気に振り払った。
その時、振り下ろした手で偶然にもスカートがめくれてしまった。
「ひゃっ……!」
自分の失態で一気に冷や汗が出て、顔が熱くなった。
太股の上までめくれたスカートを元の状態に戻す。
「……見えてないから」
「嘘!絶対見えてたでしょ!……エッチ!」
「おまえ……、前は素直に言うこと聞く子だったのに随分と生意気になったな」
「そっちだって!前は、あんなに優しかったのに……」
「……」
過去の記憶が嘘だったかのように変わってしまった。
喧嘩なんてしたことがなかったのに、再会してすぐにこうなってしまうとは。
人は数年でこんなにも変わってしまうものなんだと、私は肩を落としてしまった。
こんなことを知るんだったら、興味本位で会わなければ良かった。