シアワセ∞経路
第8章 危険な勉強会
私とソラは電車に乗って、二駅くらい離れている颯太の家に行った。
「……久しぶり」
「久しぶりだなー。最近、付き合い悪いんじゃねえ?……って風子と一緒だからか」
「うっ……、忙しかっただけだよ」
「へー?オレは遊んでもらえなくて寂しかったんだけど」
「颯太、気持ち悪いこと言うな」
「相変わらず、塑羅緒は冷静人間だなー」
初めて入る颯太の部屋にも、ソラが一緒だから緊張しなかった。
収納されずに床に置いてある漫画、香水も箱から出しっぱなし。
もしかして、片付けが苦手なのかな……。
いや、男らしいんだこれは。そう思っておこう。
着いてからどうでもいい話をして、私の勉強に付き合ってもらった。
ソラは英語だけはどうしても教えたくないらしくて、傍観していたけど。
ずっと理解できなかった英文法を教えてもらって、私の乏しい学力がまた少し上がった気がする。
しかも今日の英語の宿題まで手伝ってもらって、肩の荷が下りた気分。
「じゃあ、頑張った風子にご褒美をあげるか!塑羅緒、コンビニでピザまん買ってきて」
「え……?しょうがないな」
部屋のドアを開けて出ていくソラに付いていこうと立ち上がった。
「あっ、私も行く……――」
「風子はいいから。ここに座ってろ」
「わっ……」
いきなり颯太にぐいっと腕を引っ張られた。
大人しくそのまま隣に正座する。
結局、二人っきりになってしまった。
緊張して変な汗が出てくるし、ここは無難な話をして乗り切ろう……!