シアワセ∞経路
第3章 私の居場所
もしかして、泣きそうなのバレている……?
お願いだからそんなに見ないで……!
目をぎゅっと閉じた。
「……なんだよ。その教科書」
「えっ……」
じっと見つめてきて何を言うのかと思いきや、太い赤ペンで落書きされた教科書を見ていたようで。
「これは……、こう言うデザインなんですよ!斬新ですよね。ぶーことか私のだって一発で分かるし!」
こんなことをされたのが、恥ずかしくて知られたくなかった。
だから必死の笑顔で誤魔化す。
私の言っていることは、めちゃくちゃだろうけど。
大抵の人は、笑って流してくれるはず……。
「バーカ。そんなに目立つくらい大きく、自分の名前を赤ペンで教科書の表紙に書くやついるか」
「あははっ……。流石にこれは……珍しいですよね」
正論を言われて、せっかく作りあげた必死の笑顔が引きつる。
ただでさえこの教科書を見つけた時、泣きたかったのに。