シアワセ∞経路
第3章 私の居場所
「実験室は、新校舎の三階にあるから。こっちは旧校舎だから反対側」
「えっ……。こっちだって、教えて貰ったのに……」
クラスの子が指差してくれた方向を見てた私の違えだったのかな……?
でも、そんなはずは……。
――キーンコーンカーンコーン……
授業開始のチャイムが校舎内に響いた。
「……着いて来いよ。実験室まで案内してやるから」
「え……?でも授業が始まっちゃったし、大空先輩だって……」
「俺は大丈夫だよ。鈍臭いおまえと違うから。……それより、自分の心配をしろ」
「あ……、ありがとうございます」
けなされているのか、心配してくれているのか、イマイチつかめない。
でもこのピンチが、なんとかなりそうでホッとした。
ホッと落ち着いている間もなく、廊下をいつもより早く歩きながら、私は大空先輩に着いて行った。
「あそこが実験室。書いてあるから分かるよな」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます!」
「いいって。……頑張れよ」
最後の言葉のトーンが優しくて、弱った心が温かくなる。
エールを注入してくれるかのように、私の頭にぽんっと軽く触れて大空先輩は去って行った。
“幼馴染”っていうより、もう“しっかりした先輩”なんだ……。