シアワセ∞経路
第13章 消えない痛み
最初は優しいお兄さんかと思っていた。
だけど颯太のことをよく知っていくと、慣れた人にだけ見せる本性が分かってきて。
口調もガサツで、物事をズバッと言う、たまにちょっと怖い時もあるけど面倒見は間違いなくいい。
そこに甘えて猫を被らなくても、颯太の前では自然と素直な自分でいられた。
でも失恋した日にいきなりキスをされてから、目の前にいると意識してしまう。
友達なのに……。
ベットの隣に背中を付けて、縮こまるように体育座りをした。
「いきなりうちに呼んで悪かったな。どうしても誰もいないところで話したかったから」
「……ううん、気にしないで。話ってなに?」
「風子はもう立ち直ったか?」
「それ聞く?今は思い出させないで欲しいんだけど」
数日経って、たくさん泣いたせいで腫れた目は元に戻った。
少し困った笑みで答える余裕もできるほど落ち着いた。