シアワセ∞経路
第14章 本当の気持ち
お昼休みにはあんな事があったけれど、やっと一日が終わる。
今日は颯太と会う約束もなくて、ひとりで小さな橋を歩いて帰っていた。
いつも通りに下を向いて足を進める。
ーードンッ
「っ……」
「あ、すいません」
同じ高校の男子とすれ違った時に、肩がぶつかった。
「い、いえ。こちらこそすみません」
ーーあっ……!!
ぶつかった時に、ブレザーのポケットにずっと入れっぱなしだったネックレスが反動で出てきて川へと落ちる。
ずっと大事にしてきたハートのネックレス。
ソラと再会した時に学校に持ってくるなって注意されたけど、おまもりの代わりにこっそりと持ち歩いていた。
思い出すことを拒否していたソラのことが、自然と頭に浮かんできた。
教室がどこにあるのか分からなくて困っていた時に教えてくれたこと。
知らない男の人たちに襲われそうになった時に助けに来てくれたこと。
中学の卒業式の後に出掛けたり、たくさん一緒にいてくれたこと。
思い返すと胸が苦しくなる。
まず、このネックレスがあったから再会するきっかけができたんだよね。
もう……なくてもいいのかな。
橋の上からネックレスが落ちたところをぼーっと見つめた。