シアワセ∞経路
第14章 本当の気持ち
思い出の物を手放すことによって、少しは忘れることができるのかもしれない。
――だけど……!
気づいたら川沿いで靴とソックスを脱いで、裸足で歩いて落ちたところへ向かっていた。
川の水位は膝下くらいまでだった。
流れが穏やかなおかげで、ネックレスも流されずに沈んでいるはず。
川遊びなんてしたことがないから、水中にある石のぬるっとした感触が不快だけどそれも我慢できるくらい必死だった。
恋の行方はダメだったけれど、ソラと過ごした時間は私にとって偽物なんかじゃなくて楽しい時間だった。
でも私は失恋したことを必死で忘れようとしていた。
振られてから、どんなにもがいてもずっと消すことができなかった。
叶わなかった恋の痛みを自分で受け入れることから逃げていた。
本当は好きだったことを忘れたくない。
どうしてこんな簡単なことに気づけなかったんだろう。
弱い自分に反省しながら、ネックレスが落ちたおおよその場所で川底の石をどかして必死に探した。